外壁塗装で「ラジカル塗料」を検討している方も多いのではないでしょうか。
ラジカル塗料は2012年頃から販売された塗料。人気のシリコン塗料よりも高い性能を持っていますが、費用はそこまで大きく変わりません。塗料選びで候補の1つに考えておくとよいでしょう。
この記事では、ラジカル塗料の価格や性能について詳しく解説していきます。塗料選びで迷っている方の参考になれば嬉しいです。
ラジカル塗料とは？どんな効果がある？
ラジカル塗料は、シリコン塗料とフッ素塗料の中間グレードになります。耐用年数や費用に関しては以下の表を参考にしてください。
| 塗料の種類 | 耐用年数 | 費用目安（2回塗り） |
| ウレタン塗料 | 6〜10年 | 1,400～2,200円／㎡ |
| シリコン塗料 | 8〜13年 | 1,800～2,800円／㎡ |
| ラジカル塗料 | 10～15年 | 2,200～3,000円／㎡ |
| フッ素塗料 | 15〜20年 | 3,500～4,800円／㎡ |
もし外壁塗装でシリコン塗料を検討しているなら、ラジカル塗料も候補に入れておくとよいでしょう。ここからは特徴や性能を詳しく解説していきます。
ラジカル塗料の「ラジカル」は他の塗料と違い、樹脂の名前ではありません。樹脂というのは、塗料の性能を決める主成分の名称。ウレタンやシリコンが樹脂にあたる部分です。ラジカル塗料は正しくは「ラジカル制御型塗料」といいます。
ラジカルとは塗装の劣化因子のことですね。年数が経つにつれて塗装が弱っていく原因。その劣化を防ぐために改良された塗料を指します。高耐候酸化チタンと光安定剤という成分が含まれており、塗料の劣化を抑えてくれるのです。
シリコン塗料などをベースに改良された塗料にラジカル制御技術が加わっています。難しく考えずに「劣化しにくい成分が含まれた塗料」という認識でOKです。
ラジカル塗料のメリット
ここからラジカル塗料のメリット、デメリットについて解説していきます。まずはメリットから見ていきましょう。
ラジカル塗料を使うメリットは3つ。
- チョーキングが起こりにくい
- 汚れに強く耐久性が高い
- 費用がシリコン塗料と変わらない
どれもラジカル塗料ならではの特徴ですね。
チョーキングが起こりにくい
チョーキングとは、劣化が進むにつれて塗装の表面が弱くなる現象。外壁を触って手に白い粉が付く状態です。家を建ててから10年くらい経っていれば、チョーキングが起きているでしょう。
ラジカル塗料は、チョーキングが起きにくくなっています。これがシリコン塗料よりも耐用年数が少し長くなっている理由ですね。ラジカル塗料に含まれている成分が、チョーキング現象を抑える効果があります。
汚れに強く耐久性が高い
ラジカル塗料は耐久性が高く、汚れにも強くなっています。各メーカー「シリコン塗料を超える塗料」として開発しているので、耐久性は問題ありません。
シリコン樹脂をベースに使っている塗料は、シリコン塗料の上級版という感じです。性能が期待できますよね。フッ素塗料ほどの性能はないものの、ラジカル制御のおかげで耐久性はアップしています。
費用がシリコン塗料と変わらない
ラジカル塗料の費用はシリコン塗料とそこまで変わりません。シリコン塗料の相場が1,800～2,800円／㎡くらいなのに対し、ラジカル塗料は2,200～3,000円／㎡となっています。
30坪ほどの住宅を外壁塗装するとしてもその差は約5万円。コストパフォーマンスで考えてもシリコン塗料を超える塗料です。シリコン塗料を検討しているなら、選ぶ価値は十分あります。
ラジカル塗料のデメリット
ラジカル塗料は性能が高く価格が安い。デメリットがないようにも感じますが、そんなに完璧な塗料ではありません。
- 実績があまりない
- 塗料の種類が少ない
ラジカル塗料を選ぶ際、上記の2点だけは知っておいてください。詳しく解説していきますね。
実績があまりない
ラジカル塗料が発売されたのは2012年頃。耐用年数が10年以上あるとしても、まだ現場での実績が多くはありません。塗装業者からしてもシリコン塗料ほどの信頼がないんです。
メーカーから発表されている耐用年数は、研究時の実験データを参考にした期待値になります。メーカーは新しい商品を売り出したいのですが、まだシリコン塗料ほどの人気と実績がない状態です。
ただシリコン塗料以下ということはないはずなので、これから実績が証明されていくでしょう。
塗料の種類が少ない
ラジカル塗料はまだまだ種類が少なく、各メーカー1、2製品ほどしか出ていません。今のところ選択肢が少ないので、有名メーカーから選ぶのが無難ですね。
これから増える可能性もありますが、知名度が高くない塗料が多いでしょう。
代表的なラジカル塗料の種類・メーカー
現在販売されている外壁用のラジカル塗料でも有名なのは次の5つです。
| メーカー | 塗料名（水性） | 樹脂の種類 |
| 日本ペイント | パーフェクトトップ | アクリル |
| エスケー化研 | プレミアムシリコン | シリコン |
| 関西ペイント | アレスダイナミックトップ | シリコン |
| ロックペイント | ハイパービルロックセラ | シリコン |
| 菊水化学工業 | キクスイロイヤルシリコン | シリコン |
中でも日本ペイントの「パーフェクトトップ」が有名ですね。販売されたのも1番早いです。アクリル樹脂にも関わらず、シリコン塗料よりも高い耐候性があります。その他はシリコン塗料がベースになっているものがほとんどですね。
性能面の差は比較が難しいところですが、日本ペイントやエスケー化研、関西ペイントの塗料は人気が高いです。悩んだらこの3社から選ぶとよいでしょう。
ラジカル塗料はどんな人におすすめ？
ラジカル塗料はどんな方におすすめなのかをまとめました。
- 性能が高い塗料を選びたい
- コスパの高い塗料を探している
- ラジカル塗料の性能を理解している
理由をそれぞれ解説していきます。
性能が高い塗料を選びたい
ラジカル塗料は、フッ素塗料にも負けない高性能の塗料です。総合的な性能はフッ素塗料には劣るものの、汚れや紫外線には強くなっています。
耐用年数も15年と期待できるので、塗料の中でも十分な性能といえるでしょう。
コスパの高い塗料を探している
ラジカル塗料はシリコン塗料よりもコスパの高い塗料。価格の割には性能が高くなっているので、メンテナンスコストを抑えられます。
- シリコン塗料：10年に1回塗装が必要
- ラジカル塗料：15年に1回塗装が必要
もちろん環境によっても変わりますが、メンテナンスの回数は、シリコンなら30年で3回のところ、ラジカル塗料なら30年に2回で済みます。
ラジカル塗料の費用が多少高くなってしまっても、必要なメンテナンス回数が減るなら試す価値はあります。フッ素塗料になると費用も高くなるため、なかなか選べない人も多いですからね。
ラジカル塗料の性能を理解している
ラジカル塗料は高性能の塗料ですが、樹脂はシリコンやアクリルなので、全体的な性能はフッ素塗料よりも低いです。
例えば次のような性能のことですね。
- 塗装面への汚れの付きにくさ
- 汚れが雨で流れやすい機能
- カビやコケなどへの制御機能
フッ素塗料はすべて性能においてワンランク上のグレードになっています。ラジカル塗料はシリコン塗料に比べると、劣化しにくくなっていますが、樹脂としての性能はそれなりです。
ラジカル塗料は優秀な塗料ですが、フッ素塗料ほどの性能を期待してはいけません。他の塗料よりも発売された時期が遅いですし、まだ実績が多くないことも考慮しておきましょう。ただこれからが期待できる塗料なので、今後はシリコン塗料よりも人気が出る可能性もあります。
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